可愛いどろぼう
今晩は十五夜。
大きな台風が駆け抜けた後は秋晴れが続いていますから、
今宵は中秋の名月が各地で眺められそうですが、
台風の後片付けでお月見どころではない人たちも大勢おられることでしょう。
心からお見舞い申し上げます。
月の光でほんの少しでも癒されますように。
朝日を浴びると元気のホルモンが活発化するのは医学的に明らかなようですが、
月光を浴びると、どうなるのでしょう。
知りたいような知りたくないような。
月の光の神秘な力は解明されないままでもいいような気がしてきます。
何もかも明らかにしない方が幸せなこともある。
月光はそんな人生の機微を感じさせます。
愛する人のすべてを知ろうとしない方がいいこともある。
どこかミステリアスな方が恋は燃え上がる。
満月を見ると恋に落ちたり、狼男に変身したり、兎の餅つきを見たり、
古今東西、月を見ると、人は少し変になる(笑)
子供たちも少し変になるようで「お月見どろぼう」が現れるところも。
十五夜の日に限り、月の使者とされる子供たちが
縁側のお月見団子を盗んでも良いという風習。
今でも、子供たちが「お月見どろぼうです」と言うとお菓子をもらえる、
そんな楽しい習慣が残っている地方もあるようです。
ハロウィンに良く似ている秋の楽しい風習。
「トリック・ア・トリート」か「お月見どろぼうです」か。
どちらも子供たちが堂々といたずらできるその日限定の呪文。
普段は甘いお菓子なんてなかなか食べられなかった時代も
この日だけは楽しい呪文を唱えればお団子をお腹いっぱい頬張れる。
良い子も悪い子もない。
この日だけは、みんな、ちょっと悪い子。
怒られてばかりの腕白小僧も澄ましたいい子ちゃんも、
みんな「お月見どろぼう」だ。
「またなの」、
「どうして、いつもいつも、こうなの」、
「何で、言うことが聞けないの」。
腕白小僧の母だった私は
いつもいつも、そんな言葉で子を叱り、ため息をついていた。
記憶の中の自分は親の言うことをよく聞く良い子だったから。
じっとしていない、何でもいたずら、こぼす、壊す、散らかす我が子が
どうにも理解できず、異星人にさえ見えたこともある。
都合のいい記憶の中の良い子と比べるなんて、
なんて馬鹿な母親だったんだろう。
今頃わかった。
子供はみんな「お月見どろぼう」なんだ。
戦いすんで日が暮れて。
十五夜なんて忘れていた・・・
ためいきをつきながら、膨大な洗濯ものをたたんでいるお母さんたち。
言うことをきかないお宅のやんちゃ坊主は
可愛い「お月見どろぼう」らしいですよ。
異星人に見えるのもしょうがない。
だってお月さまの使者らしいから。
製造責任はお月さま(笑)
今晩は家事なんてほったらかして
お月見どろぼうと肩を並べてお団子でも頬張ろう。
きっときれいな満月を眺めながら。
(写真は)
今年はお月見まんじゅうにしました。
十五夜イブにさっそくお供え。
「お?お月見団子?まんじゅう?」
ずいぶんと老けたお月見どろぼうが手を伸ばす。
これこれ、今夜までお預け(笑)

