美脚のアンジェラ
久しぶりに帰ってきた息子がラーメンを食べたいと言うので
日曜日の昼下がり、狸小路のはずれに向かいました。
家族お気に入りの小さなお店で
夫と息子が懐かしのラーメンを食べている間、
お腹がいっぱいだった私は近辺をぷらぷらそぞろ歩き。
あら・・・この辺りって桜坂に似ている。
狸小路のアーケードが切れた西のはずれ。
久しぶりの旅人の目線で眺めると
那覇の桜坂界隈と同じような「匂い」がします。
映画のセットのような昭和レトロな飲食店の看板と
個性的なショップが仲良く共存している不思議な魅力を放つエリア。
狸小路はアーケードが切れてからが面白い。
さっそく一軒の素敵なアンティークショップに入ってみました。
イギリスの1930年代の家具を中心に雑貨や小物までが並び
お洒落でハイセンスな空間を作っています。
オーク材で頑丈に仕上げられたテーブルや椅子やサイドボード。
美しい木目や細かな細部の装飾が
アンティークならでは魅力を醸し出しています。
そして年代を経た家具たちのもうひとつのチャームポイントは「美脚」。
脚の作りが実に美しい。
曲線と直線を組み合わせた脚や螺旋を描く脚。
同じようなタイプのテーブルでも脚の作りが微妙に違っていたり。
女性の数だけ美脚があるように
アンティークの数だけ美脚がある。
古い家具は「脚」を愛でよ。
(何だか「美の壷」になってきた・・・笑)
チェリストの溝口肇さんにインタビューしたことが数度ありますが、
溝口さんは愛用するチェロには必ず女性の名前をつけて、
優しく呼びかけていました。
「今日のご機嫌はいかが、アンジェラ」・・・なんてイメージであります。
何百年美しい音色を奏で続けるチェロの名器。
その形も美しさも時代を超えた美女にほかなりません。
アンジェラという名は実に彼女にお似合いでした。
細く華奢な一本足も美脚♪
お店を照らし出すアンティークランプを眺めていると
「これ、LEDも対応してますよ」とお店の人が一言。
「え?1930年代のランプにLED???」驚く私。
「いえいえ、これはリプロダクトですから」。
なるほど。
アンティーク風に仕上げられたリーズナブルなリプロダクトだったんだ。
それにしても、
どこから見ても古さが美しいアンティークランプから
10年20年寿命のLEDの明かりが煌々と照らされる景色は
時空を超えた不思議な情景ではあります。
アンティークとLED。
一見正反対のポジションにあるようですが、場合によっては
どちらも主の寿命よりも長生きする可能性を秘めているとも言えます。
人生の時間は限られているけれど、
美しい脚を持つ彼女たちは
主亡きあともまた別の誰かのもとで静かに暮らしていくのです。
物には命がある。時として人よりも長い命が。
美脚のアンジェラも永遠にも思える美しい調べを奏で続けることでしょう。
その命尽きる時まで。
(写真は)
我が家の美脚。
高価な物ではありませんが、イギリスのアンティークテーブル。
ここで働いてくれて20年、
アンティーク度も高まりつつあります(笑)。
次の世代にも可愛がってもらえるように
大切に大切に使い続けていこうと思います。

