洒涙雨
洒涙雨。
「せいるいう」と読みます。
一年に一度、織姫と彦星の逢瀬の夜に降る雨のこと。
雨で逢えなくなって流す恨みの涙とも、
逢瀬の夜、二人が流す涙ともいわれるそうです。
昨夜は立秋、そして旧暦の七夕の夜でもありましたが、
蒸していた札幌は夕方6時過ぎから土砂降りの雨。
織姫はメイクの仕上げの真っ最中、
彦星もデートに向かう途中だったのでしょうか、
二人が流した洒涙雨はかなりの雨量。
「どうして、よりによって、この夜に、こんなに盛大に降るのよ~(涙涙涙)」。
七夕の洒涙雨から逃れて入った近所のスーパーマーケットには
色とりどりの短冊がぶら下がった笹が飾られていました。
「どうぞ願い事を書いて笹に飾って下さい」。
横のテーブルには短冊とサインペンと用意されています。
夏の夜の風流なサービスはこの日が最終日とあって、
笹には限度いっぱい(笑)のたくさんの短冊が吊るされて、
実るほど頭を垂れる稲穂状態です。
健康、勉強、日々の幸せを願うたくさんのたくさんの短冊。
クリスマスツリーみたいに賑やかな笹のはしっこに
たどたどしい幼い文字が見えます。
「じいじが元気になりますように」。
小さな孫が覚えたての漢字で一生懸命書いたのでしょう。
「○○ちゃんに 夢で会えますように」
達筆でしたためられた短冊が
ぽつんと離れた場所に吊るされていました。
空の上に行ってしまった誰かを思う願い事なのでしょうか。
せめて・・・夢で会えたら。
立秋が過ぎ、旧暦の七夕の夜が明けて、もうすぐお盆です。
夢で会いたい人たちが盆提灯の明かりを頼りに
すぐそばまで帰ってくる季節です。
暑くても、雨が降っても、どんな空模様でも
夢で会いたい人たちが
いつもよりも、もっともっと近くに感じられる季節がやってきます。
あの人が好きだった果物やお菓子やお酒やCDや絵本やおもちゃ・・・。
そう、あの人が笑顔になってくれそうなあれやこれやを用意して、
お迎えのお花は何にしましょうか。
菊の花が売れるお盆時期には
実はバラなどの洋花が相対的にお得なお値段になっていたりします。
花が大好きだったあの人、お洒落さんだったあの人、
たまには両手いっぱいの薔薇の花でお迎えしたっていいのかもしれません。
スーパーの花売り場でお盆の花を下見しながら、ふと外を見る。
あ・・・雨がやんだ。
30分ほど降り続いた雨は
思いきり泣いて気が済んだかのように上がりました。
星は見えない曇り空だったけど、
織姫と彦星。泣きはらした顔の二人は
雲海テラスのような天の川で30分遅れのデートを楽しんだことでしょう。
彦星さん、織姫さんへの花束は忘れずに持っていったかな。
七夕の夜が明けた。
きぬぎぬの別れの朝は、湿度が高い。
二人の涙の湿り気か、
今日も蒸し暑くなりそうです。
(写真は)
金城石畳道。
突然降り出したにわか雨に
急ぎ足で坂を登る地元の小学生たちの列。
雨が降っても楽しそうな笑顔だ。
切ない雨の味を知るのは
もう少し大人になってから、だね。

