ゆらりら
読書という言葉の森をてくてく歩いていると
宝物のような言葉に出会うことがあります。
ゆらりら。
心の重力が一気に軽くなるような
なんて素敵な語感を持った言葉でしょう。
「ゆらりら」とは
「道草・寄り道」という意味。
沖縄の瀬底島だけに伝わる方言だそうです。
昨日、内装工事を見守りながらめくっていた
沖縄の地域情報雑誌の1ページで見つけた言葉です。
先日ご紹介した樺太由来(らしき)方言「じゃこしか」も同じような意味でした。
北は「じゃこしか」、南は「ゆらりら」。
ぷらぷら、ゆるゆる、てくてく・・・
道草、寄り道しながら、いつかたどりつけばいいさぁ的な人生観、
北の樺太と南の離島で共通していたのですね。
目的地に向かって常に最短ルートを選択するカーナビ的効率至上主義とは
対極をなす価値観。
石油も電気もガスもなかった時代、移動手段は自分の足か小さな馬。
どこへ行くにも「なかゆくい」(休憩)なしでは難しかったからこそ、
楽しい道草や寄り道が成立したのでしょう。
時代は進み、大きなエネルギーを手にし、
いつのまにか最短ルートの最大効果を追求し続けるうちに、
大きな何かを見失い、大きな代償を払っているのではないだろうか。
震災以降、「いいんだろうか?このままで・・・」と、
自分の人生の旅の方法を考え直す人々がたくさんいるなかで、
「ゆらりら」
この言葉に響き、しばし、身をゆだねたくなります。
沖縄本島本部町の瀬底大橋でつながる瀬底島は
車で行ける離島のひとつ。
抜群の透明度を誇る美しい海は絶好のシュノーケリングポイント。
美ら海水族館周辺の人気ドライブコースでもあります。
海のきれいなこの島だけに残る方言「ゆらりら」。
島の小さな商店に、のんびり「ゆらりら」しながら
ひとつの店にお客さんが一人ずつ集まってくる。
そんな様子を昔の人は「ゆらり商い」とも言ったそうです。
自分のところだけにお客さんを集中させて、自分だけ豊かになればいい、
そんな発想からは決して生まれない言葉。
小さな島が助け合って生きていくには緩やかな富の分配が必要、
ひとつの店に一人ずつお客さんがやってくればいい。
そうやって、みんなが少しずつ儲かればいいさぁ。
「ゆらり商い」の心。
そんなのんびりした心で人口減少社会は生き残れない。
成長こそサバイバルのキーワードだ。
そういう考え方もあるでしょう。
いやいや、人口が減り、成熟社会を迎えるからこそ、
成長とはベクトルの違う価値観が大事では。
そういう指摘も耳にします。
この国の行方を左右する参院選投票日まであと2日。
私たちはどこを目指し、どんなスピードで、どんなルートで、歩いていくのか。
各候補者の「言葉」によく耳を澄まし、吟味する時間もあと2日。
日曜日、夏の行楽日和の投票日になりそうですが、
おでかけの前に、大事な大事な一票はお忘れなく。
ゆらりら。
投票所までのんびり道草しながらいくのも一興。
てくてく歩いてこそ気づくこと、地域の再発見、日本の進路のヒントも・・・
見つかるかも・・・です。
(写真は)
瀬底島と同じように
沖縄本島から車で行ける小さな離島のひとつ、奥武島。
橋を渡ってすぐの「中本てんぷら店」は「ゆらりら」マスト!
(先週の「野宮的コフレ」でご紹介)
揚げたて、アチコーコーの魚てんぷらは絶品。
新鮮なマグロにグルクン、名産もずくのてんぷらを
目の前の漁港や海を眺めながら、はふはふ、頬張る。
「ゆらりら」の醍醐味です。

