賢者のパン
いかがでしょうか。
フォントサイズをワンサイズアップ↑しました。
ブログをお読み頂いた方から
「字が小さい~、もっと大きくして~」とのご要望が寄せられまして
ちょっと大き目フォントで今日は書いてみますね♪
凍える連休後半、とうとう札幌も霙が降ってしまいました。
家の前のマイ桜標本木に私のダウンコート着せたい気分。
映画「フラガール」にもありましたね~、そんな場面。
オープン直前のハワイアンセンター、
寒さに震える椰子の木に自分の上着をまきつける職員の姿。
桜にも早くおひさまのぽかぽかコート着せてあげたい・・・
そんな朝、また、朝刊読んでて涙ぐんじゃいました。
読者からの投稿欄。
難しい病気で入院中の夫の病室へ仕事帰りに毎日通う妻からのお手紙でした。
スプーンなどが入った枕元の籠の中にロールパンが一個。
「食べ残したの?食べていい?」と妻はパクリと口へ。
すると、か細い、でもしっかりした夫の声が。
「残しておいたんだ」。
日に日に食欲が落ちる夫を案じて、
家で食べてたように、朝食にパン食を出してもらうよう病院に掛け合ったのは妻。
そして、何日か前、後で食べようと置いていたパンを
彼女が口にしたのを見ていた夫は
見舞いに来る妻がおなかをすかしているのではと案じて、
2個出されるロールパンの一個を「残しておいた」のです。
これは、「賢者のパン」です。
O・ヘンリーの「賢者の贈り物」は
夫に金の懐中時計の鎖を贈るためにと美しい髪を売った妻と、
妻に髪飾りを贈るためにその懐中時計を売った夫婦の物語でした。
今も世界中のどこかで、私たちのすぐそばで、
名もなき賢者たちは、命の糧を相手のために残しておく心を失っていない。
新聞の小さな投稿欄を読みながら、温かい涙が溢れてきました。
病院で出された2個のロールパン。
話題のブーランジェリーの焼き立てパンでもなければ、
休日の朝、ホームベーカリーで焼かれた幸せが香り立つパンでもない。
朝出されて、一日病室の籠の中で、仕事帰りの妻を待っていたパン。
少し固くなって、ぽそぽそになった小さなパン。
彼女にとっては世界でたったひとつの「賢者のパン」。
数年前に亡くなった父のことを思い出しました。
ようやく探し当てた介護施設は新築の建物で最新のユニット形式、
家族は本当に地獄に仏の思いでした。
ただひとつだけ。
食事にパン食がなかったのです。
朝昼晩、パンだけが一切出なかった。
喉に詰まらせたらなどの配慮があったのかもしれません。
元気な頃の父は朝刊を脇に挟んで、行きつけのコーヒーショップまで歩き、
パンとコーヒーを食べるのが習慣でした。
朝は、パンとコーヒーが好きな人だったのです。
でも私は施設側に「パン食を出して下さい」とは、どうしても言えなかった。
ようやく探し当てた父の居場所に、
それ以上の要求をすることができなかったのです。
その代わり、父の元を訪れるときは、
かならず近所のパン屋さんで焼き立てのパンを買って行きました。
小さな部屋の小さなコーヒーメーカーで父と家族の分のコーヒーを入れて、
小さな丸いテーブルで休日の昼ごはんにしたものです。
その時間が、父と過ごす最後の家族だんらんだったのかもしれません。
最後の晩餐に何を食べたいかとよく話題になりますが、
最後の朝ごはんに何を食べたいだろうか。
誰かが自分のために入れてくれたコーヒーと
ひとつ残してくれたパンがあれば
最高の人生の終わり方かもしれない。
賢者のパンの味。
(写真は)
「しぶパン」
那覇のお洒落な浮島通りから路地を入ったところにある可愛いパン屋さん。
すべて天然酵母で焼かれたパンはやさしい味がする。
紅芋あんを練りこんだロールパンが美味しかった。
浮島通り散策のおともにおすすめ♪

