海老フライとサンドイッチ
福山雅治はデビッド・ボウイのようだ。
カンヌ国際映画祭で
是枝裕和監督の「そして父になる」が審査員賞を獲得。
主演の福山雅治は人気アーテイストでありながら
「戦場のメリークリスマス」で俳優として素晴らしい演技をしたボウイと
活動が似ていると欧米のメディアから高い評価を受けました。
そうか、ヴィジュアルじゃないんだ、似てるの。
だよね、ましゃとボウイ、路線は違うものね、ましゃ、メイクしないもんね。
しかし、ライブ会場の大観衆の前でも、カメラの前でも
卓越した表現者であることは共通しています。
今後、「俳優福山雅治」に海外からオファーが殺到する予感。
「そして父になる」は今後、世界に向けて配給されることになります。
我が子と思って育ててきた6歳の息子は、取り違えられた他人の子だった。
その残酷な運命に翻弄され、親として成長していく2組の夫婦の物語。
カンヌの話題とともに流される短い予告編しか観ていませんが、
毎回、目に留まるカットがあります。
福山雅治演じる父親と尾野真千子演じる母親、
その息子の誕生日の場面なのでしょう。
大きな海老フライの尻尾を持って、
タルタルソースが落ちないように大口開ける母の笑顔。
一瞬映り込む、苺と生クリームのバースデーケーキ。
きつね色の腰の曲がった海老フライは
母がスーパーでいつもより奮発して買った大きな冷凍エビで手造りしたものか。
だから、腰が曲がっている。
ケーキは家族の嬉しい日に注文するいつものお菓子屋さんで買ったのか。
苺の赤と生クリームの白がまぶしい。
ニッポンの「ふつうの幸せ」を象徴する食べ物の形と色。
映画の中の食べ物。
セリフ以上に語ることがある。
大きな海老フライと苺のケーキが
疑いもしなかった、不満はゼロでないけれど、あるのが当たり前だと思っていた
「ふつうの幸せ」を物語ります。
「サンドイッチの年」というフランス映画がありました。
貧しく過酷な運命を背負わされた身寄りのない少年に
親代わりの職人の親方が
「人生はサンドイッチみたいなものだ。
美味しいハムの年もあれば、
涙が出るほど辛いマスタードの年もある。
味気ない分厚いパンの年もある。
でも、みんな挟んで味わうのが、人生だ」、確か、こんなことを語ります。
しょぼい親方が、哲学者に見える瞬間。
ですよね。マスタード多めのほうが、ハムサンドは味わい深い。
年を重ねるほどに、辛さが旨さに変換されていく。
平たい顔族の私が、フランス映画のハムサンドに共感したように
フランス、イタリア、世界の国々の人々も
コレエダ作品の「海老フライ」と「苺ケーキ」のこめられた
「ふつうの幸せ」を読み取ってくれたら、何だか嬉しい。
「そして父になる」
母になる難しさをかみしめるひとりとして
公開が待ち遠しいです。
(写真は)
先日、二人女子会をしたソウルメイトから
「キレイだったから」とプレゼントされたピンクのプチ花束。
女子から女子へ。友情の花束は心に沁みる。
普段、映画は一人で観るが、
コレエダ映画、ソウルメイトと一緒に観るのも悪くない。
彼女の感想が聞きたくなる。

