桜雨上がり

雨上がりの日曜日の朝。

空気は冷たいけれど

薄いグレーの雲の隙間からオレンジ色の朝日が微笑んでいます。

窓を開けると

駐車場の一本桜もしっとりと五分咲き。

「よ~し、今日は洗濯物、お外に干せるぞ~♪」上機嫌で洗濯機に向かう、が、

あ~、洗剤、切れていたんだった・・・

膨らんだ上機嫌が一気にしぼむ。

気を取り直して、朝刊を取りにいくついでに、

ノーメイクのまま(笑)コンビニに。

誰にも会わないように祈りながら、こそこそ買い物を済ませ、

洗剤片手にあの一本桜に朝の挨拶を。

あらら・・・かわいそうに・・・

昨夜の強い雨と風で桜の花が、ぽとぽと、落ちている。

咲き始めだから、花びらが散るのではなく、花ごと、ぽとんと落ちている。

木から10m以上も離れた車のところまで、桜色がぽとぽと。

寒かったろうに、桜。

一本桜に手を合わせて、マンションに入ろうとしたとき、

ピロティの濡れた路面に、白い四角い何かが落ちているのが目に入りました。

あら・・・カード?葉書?

手にとってみると、一枚の絵葉書。表は印象派らしき絵画の絵葉書です。

「母上さま」と始まり、

趣味に合わないかもしれないけど、年に一度の感謝の贈り物です。

そんな文章が綴られ、最後には苗字なしの女性の名前が記されていました。

万年筆の筆跡は大人の落ち着きが感じられて

青いインクが雨でにじんでいます。

きょうは「母の日」

ピロティは車寄せですから

昨夜あたり、車の乗り降りの際にでも、はらりと落ちてしまったのでしょう。

遠く離れて暮らす娘さんが一日早いプレゼントを届けに来たのでしょう。

雨に濡れた「母の日」のカード。

絵葉書だけど切手も貼っていないし、宛名住所もありません。

わかるのは「母上さま」と女性の名前だけ。

どうしよう・・・

しばし悩んで、管理人さんの窓口の前にそっと置いておきました。

おそらく住人かもしれない「母上さま」が窓口の前を通った時に

「あら・・・私の好きな絵だわ」

その印象派の絵葉書に目を留めてくれるもしれない。

気づいてくれたら、「母の日」の小さな奇跡。

お母さんはどこにいますか。

日曜日の朝、ホットケーキを焼いていますか。

今日も忙しくパートに出かけましたか。

自分が大人になるにつれて距離ができてしまいましたか。

もしかすると

切手を貼っても届かないところにいますか。

それでも

5月12日は

「ありがとう」と伝えよう。

届かない「ありがとう」はないよ。

お母さんの心は一番そばにいるはず。

たとえ、どこにいても。

さあ、そろそろ注文していたお花ができる時間だ。

デリバリーは娘の自分が(笑)

いつもの花屋さんにでかけよう。

(写真は)

桜雨あがりの朝、咲けないまま落ちてしまった桜のつぼみ。

咲きたかったよね。

濡れたアスファルトが冷たそうで、草の上に移してあげた。

そっと、おやすみ。